無駄吠えをやめさせるしつけ方法
犬の無駄吠えは、犬のしつけの中で一番頭を悩ませるしつけです。
というのは、犬の無駄吠えは、ただ叱るだけでは簡単にやめてくれないからです。
チャイムや掃除機、電話などの音に吠えたり、散歩中に他の犬や通りすがりの自転車に吠えたり、特定の家族に対して吠えたりと、本当に困ってしまいます。
ここでは、犬の無駄吠えをやめさせるしつけ方を紹介します。
無駄吠えをやめさせるのに叱るのはよくない
無駄吠えを直すためにただ「ダメ!」と叱るだけでは犬にもストレスが溜まってしまいよくありません。
また、しかり方によっては、犬は自分が怒られているのではなく、飼い主が一緒になって吠えていると思っている可能性もあります。
犬は飼い主に変わって吠える役割を果たそうと、より無駄吠えにつながることもあります。
ワンちゃんが何故、吠えるのかを理解して、その吠える原因を取り除いてあげることが無駄吠えを直す一番の方法です。
犬は何故吠えるのか?
犬の無駄吠えを躾ける前に、犬は何故吠えるのでしょう?
犬は昔から狩猟や牧羊犬、番犬などの役目をもっていたので、犬が吠えるというのは当たり前の行為なのです。
また、吠えたり鳴いたりすることで自分の存在を知らしめ意思表示しているのです。
人間もこれから一切話してはいけないと言われたら、つらすぎますよね。
でも、犬が吠えるのは当たり前でもペットとして飼われる以上は、人間界のルールに従ってもらわなければいけません。
そこで躾けが必要になってくるのです。
しつけで大事なことは叱ることもそうですが褒めることも叱る以上に大事な行為です。
褒めるタイミング
しつけの中で、無駄吠えを止めたら褒めるのは大事な行為なのですが、注意しなくてはいけないのが犬が無駄吠えを止めた直後に褒めないことです。
犬は吠えたことで褒められたと勘違いをしてしまいます。
こんな時には、ひと呼吸か、ふた呼吸おいたタイミングで少し落ち着いてから褒めるようにします。
無駄吠えをやめさせる4通りのしつけ方法
人間と犬の上下関係の逆転を治す
犬の無駄吠えで悩んでいるケースの多くが、人間との上下関係がしっかりとできてないことがあります。
つまり、犬の甘えや要求に飼い主が応じていることで、犬が人間よりも立場が上と勘違いしているケースです。
犬が飼い主を外敵から守るために吠えているということがあるのです。
飼い主以外の人がいる時や、物音が聞こえたときなどに激しく吠える犬は、自分より頼りない飼い主を守ろうとしているのです。
1人で留守番をしている時に吠えないのであれば、まず犬が飼い主より立場が上と勘違いしていると思われます。
人間の立場が上ということをわからせる
一戸建てでも、ペット可マンションでも、犬の無駄吠えには苦労します。
近隣住民とのトラブルにもなりかねません。
飼い主は別として他人の犬の大きな鳴き声は不快感しかありません。
犬の無駄吠えは必ず解消されます。
無駄吠えが起きるということは、あなたと愛犬との間に主従関係ができていないからです。
愛犬があなたをリーダーとして認めていれば、無駄吠えをむやみにしたりしません。
仮に吠えたとしてもあなたの命令一つで止めます。
犬には群れで生活をして仲間や、縄張りを守るという習性があります。
人間と犬の上下関係が逆転している場合は、まず人間の立場が上ということをわからせる必要があります。
次の4つのことを、まず実践してください。
一つずつ詳しく説明します。
食事は犬より人間が先に食べる
犬は食事の順番で上下関係を感じ取ります。
飼い主が食事をするよりも先に犬に食事を与えると、犬は自分が上だと勘違いしてしまいます。
飼い主が食事を済ませてから犬に食事を与えるようにしましょう。
ベッドを同じにしない
犬は同じ立場の仲間や兄弟とは寝床を共にします。
飼い主が犬と同じベッドで寝てしまうと、犬は仲間だと勘違いしてしまいます。
犬は立場が上でないと言うことを聞かないので、犬とベッドを同じにしないで必ず別で眠らせるようにしてください。
引き合う遊びはしない。
人間でも友達や兄弟同士で、紐やロープ、物などを取り合って遊んだりしますが、
これを犬とすると、力関係を確認することになり飼い主が途中でやめてしまうと犬は自分が勝ったと勘違いしてしまいます。
つまり、自分が飼い主よりも上だと認識してしまうのです。
犬と遊ぶのも大切ですが、必ず最後は飼い主が勝って終わるようにしてください。
犬の言うなりにならない。
特に散歩や食事の時間は犬にとって通したい願望です。
たまには、時間になってもあえて待たせてみたり、遊んでもらいたい時でも、時には拒否をすることで上下関係をわからせます。
1日に一度は、立場の確認を理解させるためにも服従の態度を取らせると良いです。
立場を理解したかどうかの確認は、犬をお腹を上に仰向けに寝かせ、目をそらすまでじっと見つめます。
犬がしっぽをお腹側にしまったら立場を理解したサインになります。
この行為は、あまり頻繁に行うと犬が恐怖を感じることにもなるので、1日1回を目安に行ってください。
散歩で他のワンちゃんに吠えるのも同じ原因です。
いつもワンちゃんがリードを引っ張ってあなたの先頭を走っていくのなら完全にあなたはリーダーとして見られていません。
リードはリーダーが引っ張るものなのです。
ワンちゃんが前にでても飼い主の横までです。
これが犬と生活する主従関係のあり方です。
音に吠える無駄吠えをやめさせる
インターフォンに吠える、散歩中に他のワンちゃんに吠えるなどは、どれもこの習性が原因なのです。
一つ事例をみていきましょう。
インターフォンが鳴ると無駄吠えをするケース
具体的な事例
◆チャイムが鳴った時に、ワンちゃんに「誰かが来た!」と大げさに伝えている。
これを続けているとワンちゃんは、来客があることを早く飼い主に知らせようとして吠えが悪化することがあります。
◆音に敏感なワンちゃんに「大丈夫だから」と言って抱き上げながら玄関に出迎えに行く。
音に敏感な子は、警戒心も強いので玄関から中への侵入を拒もうとして、訪問者がいなくなるまで吠え続けます。
宅配業者などには、ワンちゃんは自分が吠えたから追い払うことができたと勘違いしてしまいます。
◆チャイムが鳴るたびに「静かに〜」と話しかけるようにしかる。
ワンちゃんはチャイムと来客を結び付けているので、中途半端な声掛けは、飼い主に「もっと吠えて教えなさい。」と言われているように思い込んでしまいます。
愛犬が吠えるのは家族を守ろうとして必死に吠えているのです。
外敵から飼い主や自分の縄張りを守ろうと必死なのです。
決して怖がっているわけではありません。
あなたが愛犬から下に見られているからワンちゃんが吠えるのです。
もし、仮に家に家族が誰もいなくワンちゃんだけだと、守る家族がいないのでインターフォンが鳴っても吠えることはありません。
飼い主は、うちのワンちゃんは気が小さくて怖がって吠えていると思い込みがちですが、本当に犬が恐怖を感じて吠えることは稀です。
普段の行動で犬が恐怖を感じて吠えるということはほとんどないといっていいでしょう。
やはり原因は主従関係が根本原因なのです。
掃除機、電話の音
音に慣れさせることが大事なので嫌いな音をラジカセに録音して最初は小さい音から徐々に大きくして慣れさせます。
犬が吠えだしても放っておくか、「この音は怖くないよ」と優しく撫でてあげるのも良い方法です。
そんな時に叱ってはいけません。
嫌いな音と叱られたことで犬はパニックになってしまいます。
犬が吠えるのを止めたら前述のようなタイミングで褒めたりオヤツをあげたりします。
遠吠えをやめさせる
犬が遠吠えするのは2通りあります。
「自分はここにいるぞ」とコミュニケーションを取っているのと、外部に不審な侵入者がいる場合です。
犬が遠吠えを始めたら遠吠えよりも楽しいことがあるとワンちゃんの気を他にそらしてあげます。
グルーミングが好きならブラッシングの用意をしたりして、遠吠えが止まったら褒めてオヤツを出したりおもちゃを与えたりします。
要求吠えをやめさせる
犬は遊んでほしい、散歩に行きたい、オヤツが欲しい、お腹が空いた、という時に要求して吠えてくることがあります。
要求吠えは要注意です。
犬が飼い主より自分の方が偉いと飼い主に命令しているのです。
こんな時に、「ハイハイ」とすぐに言うことを聞いてしまったら、ワンちゃんは吠えれば言う事を聞いてもらえると思ってしまいます。
これはとても良くないことです。
要求吠えが始まっても無視をしておとなしくなるまで待ちます。
こんな時に鳴きやまないからと叩いたりしてはいけません。
叩いても効果がないばかりか、鳴きやまないとさらに叩いてやめさせようとエスカレートしてしまいます。
当然ですが犬は言葉を話すことができません。
「ワンワン」と吠える一声で飼い主に要求を伝えなければいけません。
ご飯が欲しい、散歩に行きたい、トイレに行きたい、暑いなど自己主張をするために犬は吠えます。
しかし、このような時でも主従関係がしっかりとできていれば止めさせることができます。
今までに、これらの要求を受け入れすぎたために自己主張が強くなり無駄吠えがにつながっているケースがほとんどです。
飼い主が要求を受け入れない、飼い主の指示に必ず従わせるという認識をもって、しつけに取り組めば必ずあなたの言う事を素直に聞く犬になるはずです。
帰宅時の無駄吠えをやめさせる
飼い主や家族が帰宅した時に犬が嬉しくて吠える犬がいます。
飼い主も犬が喜んでいるのがわかるので「まあいいや」と甘くなりがちですが、その状態を許しているとどんどん甘えん坊になってしまいます。
するとどうなるかというと何か飼い主の注意を引きたい時にワンワンと吠えるようになってしまいます。
また毎回、誰かが帰宅の度に吠えるのでは近所迷惑です。
実際、ワンちゃんよりも飼い主の方が喜んでいるケースが多いのですが、ここは飼い主も我慢をしてワンちゃんを落ち着かせます。
ワンちゃんが吠えている時には、無視をして相手をしないようにします。
目を合わせてもいけません。
飛びついてきたら「コラッ!」と強く叱ります。
ワンちゃんが落ち着いて静かになってからコミュニケ―ションを取るようにして下さい。
不安で吠える無駄吠えをやめさせる
家に迎えたばかりの犬や、留守番が苦手な犬がよく吠えたりします。
ひょっとしたら、あなたの犬は、ハウスがなくて家の中を完全フリーにしていませんか?
ハウスのような狭いところに閉じ込めるのは可哀想という人もいますが、
犬は本来、洞窟状のあなぐらを寝床として生活していたのです。
薄暗く囲われている場所が安心できる生き物なのです。
ですので、家の中にハウスが無いということは犬が安心で切る場所がないという事なのです。
環境が変われば寂しくなるのは人間も同じですが、不安を感じた時に吠えたら飼い犬が来てくれたので不安が無くなった。
これでは、吠えることによって不安が解消できると学習することで吠えは倍増してしまいます。
また、留守番でも家がハウスがわりだと思っていても犬には大きすぎてハウスの役割を果たしていないのです。
「狭いところに閉じ込めるのは可哀想」と思うのは人間の感情なのです。
ハウスがあることで、犬は本能を満たし不安を解消できるのです。
犬の無駄吠えを抑制するしつけ
ここで、紹介するしつけ方法は、直接的に無駄吠えを止めさせるしつけ方法ではないですが、
このしつけを習得させることでワンちゃんの行動をコントロールすることができます。
ですので、しっかり練習して習得させてください。
犬が吠えた時に抑制するしつけは「マッテ」と「オイデ」です。
「オイデ」のしつけ方法
犬の名前を呼んで飼い主の元に来るようにしつけをします。
まず、初めは愛犬の名前を呼んでこちらに来させるようにします。
はじめは来なくてもおやつを与えます。
このしつけを1日に30〜40回繰り返すことで、名前を呼んで飼い主の元に来るようになったら、
次は「名前+オイデ」と呼んで来るようにしつけます。
飼い主の元に愛犬が来たらほめておやつを与えることを繰り返すことで、
ワンちゃんは「名前+オイデ」と呼ばれ飼い主の元に行くと良いことがあると覚えるようになります。
「マッテ」のしつけ方法
まず、「オスワリ」ができていることが前提です。
「オスワリ」をした状態で「よし」と声をかけ、ほめてからおやつを与えるようにします。
「オスワリ」してから「よし」」の時間を少しづつ伸ばしていって2秒ぐらいワンちゃんが待てるようになるまで訓練します。
次に「オスワリ」+「マッテ」と声をかけるようにして同じように2秒ほどたってから「よし」といっておやつを与えます。
この行為を繰り返すことで、ワンちゃんは「マッテ」をすることでいいことがあると学習します。
これら2つのしつけができるようになると、ワンちゃんが無駄吠えをしても「オイデ」あるいは「マッテ」と声をかけることで無駄吠えを抑えることができるようになります。
成犬になってからのしつけはなかなか大変です。
子犬のうちにしっかり取り組んで無駄吠えしないワンちゃんにしつけてください。
犬の無駄吠えを助長するしつけ
こんな行為は犬の無駄吠えを助長します
愛犬が吠えたらすぐにおやつを与えてしまう。
ワンちゃんは吠えることでおやつが貰えると勘違い学習をして、やたら吠えるようになってしまいます。
愛犬を抱っこする
ワンちゃんが吠えたら抱っこするという行為は、すべての犬に当てはまるわけではありませんが、
飼い主に守られているという安心感からますます吠えるようになることがあります。
飼い主が過剰反応する
愛犬が吠えることで、飼い主が反応する行為をワンちゃんは飼い主が楽しんで自分を応援しているように感じてしまい、さらに吠えるという事につながったりします。
リードを引っ張る
リードを引っ張ることでワンちゃんは、自分が応援されていると勘違いしてしまいます。
ワンちゃんが無駄吠えをしてもリードは引っぱらないようにしましょう。
体罰を与える
ワンちゃんが無駄吠えすることで、叩いたりして体罰を与える行為が行動を悪化させます。
とにかく体罰はよくありません。
むやみに怒る
ワンちゃんが無駄吠えをすると飼い主は間違いなくイライラしたり感情にまかせて怒ったりしますが、怒っても何ひとつ良いことはありません。
悪循環になりますので怒ることは止めましょう。